■ 公演を終えて
もし、芝居の脚本が映画やドラマに使われることになったら。そんな憧れは正直ある。まあ戯言なんだけど。けど、こういう願望を餌にぶら下げて、芝居づくりのモチベーションを高めるという脳内作業は意外と効果があったりする。
この芝居の場合は、実写ドラマではなく、「アニメ化されたらいいのにな」という願望。
「1話20分として120分の芝居だから6話はできるな」などと妄想しながら。

それにしても、久しぶりの長編新作であったり、内容が決して万人受けする設定ではないことによる不安はあったけど、観て面白かったと言って下さる人が多くて、やって良かったと思う。

この芝居の特徴のひとつは、アニメや漫画のネタを普段よりかなり多めに盛り込んでいること。数えるとおよそ30種類ほどの作品のネタが入っていた。ガンダムやエヴァンゲリオンネタは沢山入ってたけど、それを1作品と数えてだから、数で言えばもっともっと多い。漫画ネタというのは、知っている人には楽しめるけど、知らない人には何が面白いのか理解できないわけだから、その辺は配慮してみた。
たとえば、漫画で出てくる名台詞を日常会話に流用するというユーモア。リアルに再現すると、漫画を読まない人には、そんな会話を耳にして、「え?日本語?」となってしまう。アニメを沢山観ている人は、ネタの引き出し多いと思うけど、逆に、わからない人からは感覚的な距離が開いてしまうことがある。実際僕はよく他の劇団の芝居でガンダムのネタをやられて、理解できずに悔しい思いをしたことも何度かある。そこで、[悦子]という「オタクの会話がわからない側の代表者」を登場させ、彼女にもわかるように説明していくことで、わからない人への消化不良を改善していく。その説明を会話劇という枠を壊さないように盛り込むために[ぱふぱふ]が登場する。やはり何でもかんでも説明してしまうと、物語のテンポが悪くなるのも否めない。その辺のバランスもいろいろと悩んだ。
それでもやはり、マニアックな内容についていけない人は少なからずいるだろうという懸念は最初からあったので、シチュエーションコメディ的な笑いの要素単独でも笑いがとれるようにした。因みに[朴]という男は、後から思いついた登場人物で、「彼が絡むといつも超展開になる」という作中作の設定が物語が終盤はちゃめちゃに展開していく伏線となっている。実際に、オフ会開催を催促したり、昆陽にオフ会の様子を盗聴させたりしたのも彼である。
あと、朴がラジオドラマで主人公[昆陽]を演じていたり、昆陽の妹のHNである[Gカップの憂鬱]が実は朴のHNであったり、ヒロイン[杏奈]の兄[アッガイ彗星]が、元ネタの台詞を言わないで、他のキャラの台詞ばかり引用してたりと、無駄に複雑な設定になってしまっている。単にこの、「とっちらかった感」がいいなと思ってやってしまった。因みに本編では出て来ないけど、裏設定では、悦子がモデルとなった作中作「天空」の生徒会長「長田ミッシェル」の下の名前は、作者である昆陽の妹[ミチル]が由来だったりする。